有機肥料は化学肥料と違って、使い方や使う資材、使う時期にコツがあります。間違ってしまうと農作物の生長の害となってしまう場合があります。
1.有機肥料について
有機肥料は微生物によって分解されないと植物の栄養にはならない肥料です。そのため、かならず発酵(微生物による分解活動)というプロセスが必要になります。
窒素成分は植物の体を作る重要な栄養素です。タンパク質は大量のチッソ成分を含んでいますが、植物はタンパク質をそのまま吸収することができません。アミノ酸以下にまで分解されたものを吸収して養分とします。
2.発酵肥料(ぼかし肥)をつかう
ただ肥料を混ぜて田んぼに施肥しただけでは効果が出てくるまでに時間がかかります。
微生物は温度が高くないと活動が鈍い(分解が遅い)ので、4月や5月の寒い時期の田植えで未発酵の有機肥料を使用してもなかなか効果がでてきません。稲の根が発酵の弊害で傷んでしまったり、養分が少ないので分けつがなかなか進まないということがあります。
そのため、使用前に予め発酵させたものを使用します。市販のものでも、アミノ酸型肥料や、ぼかし肥など発酵済みのものだと割と使いやすいです。
3.有機肥料の使い方
高山農園では、用途と使用時期で作り方、使用資材を変えています。
基肥
基肥は稲を生長させるための肥料なので、米ぬか、油粕、クズ大豆、おから、魚粉、カニ殻など、チッソ分が多めの資材を嫌気発酵させて使用します。
空気の少ない水の中で活動できる菌じゃないとだめなので、乳酸菌などの空気がなくても活動できる微生物を増やして発酵させます。
追肥
グアノ、苦土、海藻粉末、貝化石などミネラル分が多めのものを使用します。使用時期が高温期なので未発酵のままそのまま使っています。
食味向上のため、窒素分を少なくしミネラル分を多めに施肥します。
秋肥
米ぬか、貝化石、くん炭(モミ殻)、石灰、クズ米など、炭水化物系の肥料を好気発酵させて使用します。
秋肥は植物の栄養というよりは土壌改良のための資材です。稲ワラの分解や土の微生物を増やすことを目的としています。
使用時期が秋~冬なので、寒い時期でも活動できる菌を増やしています。こういった微生物は空気が好きなものが多いので、堆肥のように何度も切り返して空気と混ぜながら作ります。
散布後も水を張ったりせず、軽く耕起をして乾かし気味に管理します。