平成28年度の栽培まとめ、6月~8月の記録です。今年は雑草が良く伸び、害虫のカメムシも多く、苦労が絶えない栽培期間でした。
6月
田んぼに植えた苗が鹿に食べられてしまいました。頭の部分だけを食べていくので、ハサミで切ったようになっています。シカは今まではいなかったのですが、2年ほど前から出没するようになってきました。イノシシと併せて対策が必要です。
シカ対策の防獣ネットと紐です。2mぐらいは跳ぶらしいので、田んぼの周りを防獣ネットとビニール紐で囲います。山間の田んぼ獣害が多いので、どうしても手間ばかりかかります。
6月に入ってもまだまだ田植えは続きます。これはコシヒカリのポット苗で、1株ごとに区分けされているちょっと特別な苗箱です。根をあまり傷めずに植えられるのと、だいぶん大きな苗に生長したものでも植えられるので、無農薬栽培などに活用できれば、と期待しています。
こちらはポット苗を植えた田んぼです。通常のマット苗は3葉で植えますが、これは5葉まで育苗箱で育てたので、田植え後でも見た目が全然違います。無農薬栽培の場合、雑草が生えてくるのを如何に防ぐかが問題ですが、ポット苗の場合は雑草が生えてきても先に稲が大きくなってしまうので、雑草の害は多少は防げるのではないかと思います。
無農薬栽培の古代米(緑米)です。田植えから1ヶ月で雑草のコナギが生えていますが、頑張って生長しています。無農薬1年目の田んぼなので、何もしなくても雑草はそれほどひどくはありません。これくらいならとりあえず大丈夫そうです。
7月
7月の上旬にはハナエチゼンの穂が出始めました。高温期の登熟になるので乳白が多くなりそうです。
穂が出始めると、畔にいたカメムシが田んぼに入ってきて、米の汁を吸います。吸われたお米は黒く変色し、お米の品質が下がってしまいます。今年は雪が少なかったので越冬した害虫が多い様な気がします。収穫後の色彩選別で苦労しそうです。
イモチ病の病斑です。稲を枯らしてしまう怖い病気で、葉に広がる葉イモチ、穂首がやられる穂イモチなどがあります。
イモチ病の菌は葉に付いた水滴から侵入するので、特に梅雨の時期は心配になります。慣行米はいもち病の予防薬や特効薬を散布できるので多少なら問題ないのですが、無農薬米は一旦発病すると、どんどん広がってしまいとんでもないことになります。高山農園のある地域はこの病気が発生しやすく、病気に負けない強い稲を作る工夫が必要になります。
田んぼを乾かしはじめると、田んぼにイノシシが入ってくるようになります。これは別の農家さんの田んぼですが、穂をかじられて酷いことになっています。何も対策をしないと1週間ほどでこのようになってしまい、収穫ができない、収穫しても米が割れていたり、未熟米、死米であったりと、ほぼ収穫ゼロです。山間の田んぼは本当に手間がかかります。
8月
コシヒカリの追肥作業です。重たい肥料を入れた機械を背負い、歩きにくい畦道を100m歩くだけでも汗だくになります。この時期の屋外作業はたいへんです。でも美味しいお米を作るためには欠かせない作業です。
稲穂が白くなっているのはスズメにかじられたためです。大群でやってきて結構な量を食べていくので、集中的に入られると2割ほどの減収となってしまいます。これも昨年の雪が少なかった影響です。
8月後半からは収穫期に入ります。ハナエチゼン、夢あおばと植えた順に刈り取っていきます。
今年の収穫はどうでしょうか。収穫したばかりのまだ青臭い籾の匂いも良いものです。
この時期になると、日中でもイノシシが出没するようになります。親は警戒心が強いので滅多に見ませんが、子供のイノシシはこちらが動かない限りはじっと見ていても逃げません。これくらいの小さいものでも、田んぼに入られると稲をグチャグチャにしてしまうので困りものです。