植物も動物と同様に様々な病気があります。特に、発芽したての一番抵抗力の弱い時期に感染しやすく、育苗の段階では様々な病気が多く発生します。そのリスクを軽減するために種子消毒を行います。
まずは例年通りハナエチゼンという品種の消毒から。稲には様々な品種がありますが、その品種を決定する1つの要素に栽培適期というのがあります。全てのお米の栽培時期が同一時期だと、田植えや稲刈りが間に合わなくなるので、時期をずらして作業がしやすいように調整されています。福井県だとハナエチゼンは早生品種で4月後半からの田植え、コシヒカリだと5月中旬以降の田植えが適期みたいです。ですが近年は高温化の影響でゴールデンウィークの頃からコシヒカリを植える人もいれば、当農園みたいに6月中旬にコシヒカリを植える農家もあり、それぞれの事情でバラバラです。
ほとんどの品種はお湯で消毒しますが、このハナエチゼンという品種はなぜか温湯消毒では失敗続きなので、昔ながらの薬剤での消毒をしています。自分のやり方が悪いのか未だによくわかりません。高山農園では使わなくても良い農薬は使いませんが、このように使わないと失敗のリスクが非常に強いものには薬剤を使用しています。育苗での失敗はやり直しが非常に大変というか失敗が出来ないので、とにかく安定して作業が出来るよう取り組んでいます。
消毒後は、1週間ほど水に浸けて芽が出やすいようにお米に吸水させます。種籾用のお米と食用のお米は基本的に同じですが、1つ異なるのは種籾用は低温で乾燥させていることです。高温乾燥だと中の玄米が死んでしまうので水に浸けても発芽しません。発芽玄米を作ろうと思って玄米を水に浸けても発芽しない場合があるというのはこれが理由の1つです。