お米の安全性と認証制度

無農薬米にはたくさんの種類があります

無農薬」という言葉は農産物の販売などでよく見かけることがあると思いますが、その意味は結構あいまいで、いくつもの解釈方法があります。

  • 農薬と化学肥料を使わずに栽培したお米。
  • 農薬を使わずに栽培(化学肥料は使用)したお米。
  • 農薬未検出米:農薬を使用して栽培したが、残留農薬検査で基準値以下だった。農薬が検出されなかったから無農薬。化学肥料も使用。
  • 農薬と化学肥料を使わずに栽培した特別栽培米。
  • 有機栽培米(有機JAS)。

1番のお米は、何の根拠もない”自称”無農薬米です。2番は化学肥料を使っている無農薬栽培米です。3番目は農薬を使用しているのだから基準値以下の農薬は含まれる可能性があります。4番目は農薬不使用栽培の”根拠のある”お米です。5番目は法律で定められている唯一の規格米です。

また、法律上の農薬とは「使用を禁止されている農薬」という意味で、「天然由来の使ってもよい農薬」というのも存在します。(自然にもともと存在する化学合成農薬と同等の効果のある成分で、使用禁止しても意味が無い)

栽培している私たちからすると全部違うものだとわかるのですが、お米を購入する側からすると自分が思っていたものとは違うものを買っていた、ということがあります。「減農薬」という言葉はさらにあいまいで、何を基準にして何をどれだけ減らしたかなどは全くわかりません。

こういった紛らわしさもあり、現在では「無農薬」「減農薬」といった言葉は原則使用できないことになっています。その一方で、この様な言葉が表示されていないと、商品がお客さんの目に止まらない、探しにくいというのもあります。

そこで高山農園の取り組みとしては、栽培するお米はすべて「有機JAS認定」か「特別栽培農産物」のどちらかの認証を受け、農薬・肥料・栽培に関する情報を明確にしています。何の根拠もなく自分たちで勝手に”無農薬・減農薬”と言っているわけではなく、第三者機関による認証を受けることで、より安心してお米を選んでいただけるようになると思います。

”有機JASや特別栽培”とは農産物の安全性に関する認証制度のことで、購入時に確認することができます。

特別栽培米は農薬と化学肥料を通常の半分以下で栽培したお米です

通常栽培と比べて農薬と化学肥料をどれだけ減らして栽培したかを知ることができる認証制度で、お米の場合は「特別栽培米」と表示できます。制度は各県ごとにすこしづつ違うのですが、福井県の場合は細かく4つの区分に分かれており、区分1などは他県よりも厳しめの認定基準となっています。

区分
認証マーク 無農薬栽培 無農薬、無化学肥料栽培 減農薬、無化学肥料栽培 減農薬米、減化学肥料栽培
栽培期間中の
農薬成分
不使用 不使用 通常栽培の5割以下 通常栽培の5割以下
栽培期間中の
化学肥料
[窒素成分]
不使用
(有機JAS適合資材のみ使用可)
通常栽培の5割以下 不使用 通常栽培の5割以下

無農薬と有機栽培

有機栽培(有機JAS)とは、農薬や化学肥料の使用制限だけでなく、田んぼや収穫した農産物に対しても他所からの汚染防止対策を規定した制度で、より安全性の高い農産物の認証制度です。

  • JASマーク
    有機JASマークについて

一言で説明すると、「2年以上、禁止農薬・化学肥料を使用していない田んぼで栽培され、限りなく化学物質による汚染が少ないお米」ということになります。お米の場合、有機米、有機栽培米、有機JAS認定米などと表示されています。

もう少し具体的に言うと、”自然に自生している山菜などと同程度の安全性の農産物”ということです。2年以上田んぼが化学物質による汚染がなければ自然の山野と同程度であると見なしてもらえ(この田んぼのことを有機圃場と言います)、ここで栽培された農産物は自然に自生しているものと同程度の安全性であるということになります(これが有機農産物)。

農薬不使用栽培ですが、"無農薬"とは意味合いが違うので、有機農産物も”無農薬”と表示すことはできません。限りなく天然物に近い、栽培された農産物です。

高山農園の有機栽培

よく有機JASの説明で、

  • 農薬、化学肥料を2年以上使っていない田んぼで栽培(3年目の収穫物より)
  • 田んぼに自然物以外が入らないように汚染防止対策
  • 遺伝子組み換えのものも自然物ではないからダメ
  • 収穫後の農産物についても、汚染防止対策が必要

というのがありますが、これは有機JASの認定基準であって”どうやって栽培した、どんなお米なのか”の説明ではありません。農家によって栽培方法は様々なので、その認定基準を満たす手段や取り組みも様々です。

高山農園の有機栽培は次のような取り組みを行っています。一言でいうと、「生き物が豊かな田んぼを作り、丈夫な苗を植え、なるべく自然に近い環境で育てる。」ということですが、継続するのはなかなかたいへんです。

  • 肥料:資材は購入前に原材料、製造工程を確認する。なるべく自家製資材を使うようにする。
  • 土づくり:毎年収穫後には必ず行い、食物連鎖の土台となる微生物や小さな生き物が豊かな土づくりをする。
  • 水:パイプラインの水を使用し、他の田んぼの排水や家庭排水が直接田んぼに入らないようにする。
  • 種子:有機栽培の種もみを使う。
  • 育苗:種もみは1箱あたり80g以下にして丈夫な苗を育てる。ビニールを敷いたプール内で育苗し、他の苗や地面と区別する。
  • 田植え:1,2本植えにして、密植させない。風通しや日当たりを良くして病害虫を防ぐ。
  • 水田内除草:チェーン除草、中耕除草、手取り除草。
  • 畦道の除草:刈払機で草刈りをする。
  • 機械:使用前に清掃や洗浄を行う。

最後に有機栽培の考え方についてですが、なるべく「自然の力を利用した栽培」なので、その自然の力を発揮させるにはどうしたらよいかを考えることが、有機栽培に取り組む上で一番大切な部分だと思います。

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